蟹のつぶやき kanikani

海坂藩2007年09月08日 20:08

藤沢周平の愛読者ならずとも、映画で藤沢作品になじみの人の耳に優しく残っている音が「海坂藩」という言葉ではないだろうか。

藤沢の故郷は山形の鶴岡。そして「海坂藩」は「出羽国」と所在が示されているので、架空とはいえ彼の故郷を下敷きにしているのは間違いない。蝉時雨などの作品の記述から、「海坂藩」の城下町の絵地図を描いた人もいるという。

藤沢の文芸作品のほかに、周平の全集で「周平独言 小説の周辺」という巻を読んでいたら、その「海坂」の由来に自身が触れている部分があった。

「一茶という人」で次のように書いている。 「二十代の後半ごろに、私は北多摩のある病院に入院していた。そこで病気を治療してもらうかたわら、私は病院の中の俳句会に入っていたが、その俳句会は、あるつながりから、作品を静岡の俳誌『海坂』に送り、指導を受けることになっていた。『海坂』は馬酔木の同人である百合山羽公、相生垣瓜人両先生が主宰する俳誌である。私はすぐれた俳人であり、また篤実な君子である両先生を敬愛し、熱心に句作した。……(中略)……『海坂』に出句していた当時は、多少本格的な勉強をしていたような気がしている」

エッセイ「『海坂』の節のことなど」というところでも書いていたように思う。 「だから、どうだ」という訳の話ではないが、藤沢さんという作家の俳句との触れ合いに、新たな興味を抱いた。

因みにサイトを検索してみると、『海坂』は「海神の国とこの国とを隔てるという境界。古事記では…海坂を塞へて、返り入りましき。、万葉集では…海界を過ぎて漕ぎ行くに…」とあるそうだ。広辞苑等を参考にしたと注記があった。

コメント

_ お松 ― 2007年09月11日 22:21

海坂藩の由来にはそういった理由もあったんですね~。すごく参考になりました。しかしまあ、架空の地名でここまで有名なのもめずらしいですよね(笑)
小説の書き方にもいろいろあるということでしょうか。
ボクの好きな池波さんや浅田さんは実名主義。もちろん、物語の部分は創作ですけど。実際に存在する場所を舞台にする小説の場合は、その土地に旅行などで実際に行けるところが良いです。京都の八木邸とか。

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