蟹のつぶやき kanikani

フリーペーパーの衝撃 (集英社新書 424B)2009年01月23日 09:43

フリー

フリーペーパーの衝撃

「R25」「ぱど」「ホットペッパー」……。ターミナルを中心に無料の紙が氾濫している
。それも、それなりの内容を持ったマガジン、となると「衝撃」である。新聞受けには、地域紙や手配りをしている無料新聞が放り込まれている……。新聞にしても、雑誌にしても、有料が当たり前だったのに、なんで「無料」が成立するのか、という仕組みの話から、インターネット時代の活字文化と、ウエッブの世界との架け橋になるとか、ならない、といった文化論にまで話は及ぶ。なかなか取材は行届いているといえる。恐らく、事態は日々動いているのだろうし、数年後には「そんな時代があったの」というくらい、動きは早いはずだ。ここに描かれている数年前のことから、現在のことが考えにくい状態があるほどなのだから……。

フリーペーパーが成立する条件は、広告を伝えたい対象にいかに絞って伝えることができる、という媒体としてのあり方にかかっているようだ。従来の媒体で漏れていた、伝えきれない対象に、どのようにしてデリバリーするのか。ターミナル駅構内のラック、書店に並んでいるラック。以前には見かけないものだったのが今では大威張りの態だ。紙と雑誌とを対比してみると、スエーデンで始まり全世界に展開している無料紙「メトロ」の日本版「ヘッドライン・トゥディ」は、創刊4ヶ月で週刊に転じざるをえなかった。なぜ巧くゆかなかったのか。02年7月という時期だったからか。①コンテンツとしての情報②印刷できる場所の確保③媒体を置くラックなどの確保、そのいずれもが巧くはいかなかったようだ。それは厳しい日本のマスコミ界の危機感の裏返しの表現であったのかもしれない。

だれでもが出せる「紙のブログ」、という章には、高校生の起業プロジェクトの実験が紹介されている。そういう時代なのだと納得させられる。同時に時代の空気を吸いながら、時代の隙間というものにビジネスチャンスを見出すことも。

一つ、豆知識。かつて広告のメカニズムを図式化した言葉に「AIDMA」という言葉があった。Attention(認知) Interest(興味) Desire(欲求) Memory(記憶) Action(行動)の頭文字。それが現在では、別の表現になっているのだそうだ。「AISAS」。「AI」のあと Search(検索) Action(行動) Share(意見共有)。ウエッブにおける消費行動とその結果にいたる流れを示したものだという。ここでも意識は変わっている。


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