蟹のつぶやき kanikani

かものはし2008年05月22日 01:22

「かものはしプロジェクト」というNPOの共同代表である、村田早那香さんの話を聞いた。

カンボジアで買春をさせられている児童たちを救う――というのがNPOのミッション。村田代表という、26歳のお嬢さんが、大学生であった02年に児童たちの酷い状況を現地に見て、「私たちに何かできないか」と、思い立ったところから、この挑戦が始まった、という。

村田さんが出会ったのは、6歳と12歳の姉妹。彼らは家が貧しかったために、売春宿に売り飛ばされ、電気ショックを与えられながら無理やり働かされていたところを保護された。売春宿に売られた後、HIVで死亡したり、自殺をしたりする子どもも少なくないと知った。

カンボジアはインドシナ半島にあり、ベトナム、タイ、ラオスに接している東南アジアの国だ。世界遺産アンコール遺跡群という観光資源こそあるものの、どうも国の体をなしていないかのようだ。ベトナム戦争の裏側で共産主義政党クメール・ルージュの独裁者ポル・ポトが政権を握った時代に、国内で当時の人口のおよそ三分の一にあたる200万人とも言われる途方もない規模の大虐殺が行われ(数については諸説あり)、中でも働き盛り、社会の中心となるべきインテリ層が虐殺の対象となる、不幸な時代をくぐってきた。村田さんの話を聞いて、貧困の背景は深そうだ。

そのカンボジアの子どものために、村田さんが思い立ったものの、単なるボランティアでは、挑戦は長続きしない、それに自身がそれに賭けていくにしても自立ができない。そんな時に出会ったのが、共同代表の2人の若者。東京大学の学生だった。

児童を買春から守るために推進する事業を「親に仕事を、子どもに教育を!」と思い定め、起業する方策を探る。村田さんは当初、ボランティアで始めたが、就職活動の時期を迎え、これを事業として進めることを決心するが、親に反対され、妥協が「3年間で結果を出す」ことだったという。

仲間と学生起業家のコンクールにアイディアを出し、競ったりもした。村にコミュニティーファクトリーを作り、村人に職業訓練と雇用を提供することで、子どもたちは学校に通え、児童買春の被害にあうことをなくす、と現在ではイグサで作ったブックカバーをファクトリーの仕事にしている。一方で、国内でITの仕事を受注して、NPOのメンバーの人件費を賄ったり、その他は法人や個人のサポーターの資金援助、というのが収入の柱だ。またサポーターに現地を案内するスタディーツアーなども行っている。

村田さんは04年フェイリス女学院大学国際交流学部卒業。01年第2回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議若者代表。03年Youth Development and Peace(世界銀行主催)に、唯一の日本の若者代表として参加などの経歴。「★ 世界で最も傑出した若者に選出!★
 ~過去にケネディやキッシンジャーが受賞したTOYP賞を受賞しました!~」とも。

「一日あたり33円の支援で子どもたちの笑顔が守られます」。会は呼びかけている。弾けるようなエネルギーに打たれた。